健康診断の結果に「再検査」「要精密検査」と書かれていても、症状がないと、つい後回しにしてしまいがちです。肝臓は傷ついても症状が出にくい臓器のため、健診の数値が数少ない手がかりになります。この記事では、肝機能の判定の読み方、再検査までに気をつけたいこと、受診したときの流れをまとめます。
まず結論:「再検査」は、数値が上がった理由を確かめるための受診のすすめです
再検査や精密検査をすすめられても、すぐに重い病気というわけではありません。ただ、脂肪肝やウイルス性肝炎のように、症状のないまま進む病気が隠れていることがあります。一度受診して、数値が上がった理由を確かめておくことが大切です。
日本肝臓学会は2023年に、健康診断などでALTが30を超えた場合はかかりつけ医を受診するよう呼びかけています(奈良宣言2023)。結果票の判定が「要経過観察」でも、ALTが30を超えていれば一度ご相談ください。
結果票の判定の読み方
判定の言い方は健診機関によって違いますが、おおむね次のように分かれます。
- 要経過観察:すぐの受診は求めないが、次の健診まで生活に気をつけて様子を見る
- 要再検査:日をあらためて、もう一度検査をして確かめる
- 要精密検査・要医療:医療機関を受診して、原因を調べる・治療を考える
特定健診では、肝機能の値に次の目安が使われています(標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版))。
- AST・ALT:31以上で保健指導、51以上で受診勧奨
- γ-GT(γ-GTP):51以上で保健指導、101以上で受診勧奨
受診勧奨の値でなくても、前の年より上がっている、何年も続けて高いといった場合は、原因を調べる意味があります。それぞれの値が何を表すかは、健康診断で肝機能の異常を指摘されたらのページで説明しています。
再検査・受診までに気をつけたいこと
- 検査の前日から数日は、激しい運動を控えてください。筋肉からも出る値(AST)が一時的に上がることがあります
- お酒は、ふだんどおりで構いません。受診のときは、ふだん飲んでいる量をそのままお伝えください
- 飲んでいるお薬やサプリメントは、自己判断でやめずに、受診のときに医師へお伝えください
- 当院での再検査の採血は、食事を抜いて来ていただく必要はありません
数値が上がる主な原因
脂肪肝(脂肪性肝疾患)
健診で肝機能の値が高くなる原因として多いものの一つです。このうち、肥満や糖尿病などの代謝の異常が関係するものは「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)」と呼ばれ、お酒を飲まない方にも起こります。炎症が続くと肝臓が硬くなる(線維化)ことがあるため、経過を見ることが大切です。
お酒の飲みすぎ
長い期間の多量の飲酒で、γ-GTを中心に値が上がります。
B型肝炎・C型肝炎
ウイルスによる肝炎は、自覚症状のないまま慢性に続くことがあります。C型肝炎は飲み薬でウイルスを排除できることが多く、B型肝炎は薬で肝炎の進行を抑える治療があります。一度も検査を受けたことがない方は、血液検査で確認できます。
葛飾区にお住まいで、これまでに肝炎ウイルス検査を受けたことがない方は、区の肝炎ウイルス検査を無料で受けられます。当クリニックは区の実施医療機関です。ご希望の方は、当クリニックへお電話で「肝炎ウイルスの無料検査を希望」とお伝えのうえ、ご予約ください(2026年10月時点。詳しくは葛飾区の「肝炎ウイルス検査が無料で受けられます」)。
お薬・サプリメント・そのほか
飲み始めたお薬や健康食品が原因になることがあります。ほかに、胆石や胆道の病気、甲状腺の病気などで値が上がることもあります。
早めに受診した方がよい目安
- 「要精密検査」「要医療」と書かれている
- ALTが30を超えている
- 前の年より値が上がっている、または何年も高いまま
- 脂肪肝と言われたまま、詳しく調べたことがない
- 肝炎ウイルスの検査を受けたことがない
白目や皮膚が黄色い、尿が濃い茶色になった、強いだるさや食欲の低下が続く、お腹が張る・痛む、といった症状があるときは、健診の結果を待たずに早めに受診してください。診療時間外で急ぐか迷うときは、東京消防庁救急相談センター(#7119)に相談できます。
当院を受診したときの流れ
当クリニックでは、日本肝臓学会の肝臓専門医である院長が診療にあたります。肝臓内科の受診に予約は不要です。日曜・祝日も午前中に診療しているので、平日に時間がとりにくい方もご相談ください(水曜は休診です)。
- 問診:健診の結果、飲酒の量、お薬やサプリメント、これまでの病気をお聞きします
- 血液検査:肝機能の値に加えて、B型・C型肝炎ウイルスの有無など、原因を調べる検査を行います
- 画像検査:必要に応じて、腹部超音波検査などで肝臓の状態を確認します
- 結果の説明:原因に合わせて治療や生活の見直しを行い、定期的に値を確認します。専門的な治療が必要な場合は、連携する病院をご紹介します
院長より:肝臓は「沈黙の臓器」と言われ、必ずしも症状が伴うわけではありません。健診で肝機能異常を指摘されたら、自覚症状がないからと放置せず受診してください。
持ち物は、健康診断の結果票(過去の分もあれば一緒に)とお薬手帳、飲んでいるサプリメントがわかるものです。診療の内容は肝臓内科、診療時間は診療時間・休診日のページでご確認いただけます。
よくある質問
再検査は、いつまでに受ければよいですか?
再検査は、結果が届いてからなるべく早めに受けてください(1か月以内が望ましいです)。「要精密検査」「要医療」の場合は、先延ばしにしないでください。
再検査で値が下がっていれば、もう心配いりませんか?
一時的に上がっていただけ、ということもあります。ただ、脂肪肝などでは値が上がったり下がったりを繰り返すことがあります。原因がわからないままであれば、一度ご相談ください。
健康診断の結果票が手元にありません。
結果票がなくても受診できます。血液検査で今の値を確認します。過去の結果がわかると推移を比べられるので、見つかった場合はお持ちください。
参考情報(2026年10月確認)
- 日本肝臓学会「奈良宣言特設サイト」
- 厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」
- 日本肝臓学会「市民のみなさま」
- 葛飾区「肝炎ウイルス検査が無料で受けられます」
数値の基準や制度は2026年10月時点の情報です。
